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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『ネバー・サレンダー 肉弾乱撃』




ジェームズ・ナン『ネバー・サレンダー 肉弾乱撃』、

元海兵隊にいた新米救命隊員のマイク・“ザ・ミズ”・ミザニンは、夜の遊園地の駐車場で男が心臓発作を起こしたので、同僚のアンナ・ヴァン・ホフトと現場へ。

だがそこには銃殺された男の死体と、重傷を負った男がいた。

男はギャングに狙われていた。

マイクとアンナは、ボスを殺した男をギャングの復讐から守るため、男を救い出して脱出しようとするが、アンナがギャングに捕まってしまう。

マイクは男を守りながら、ギャングのメンバーを一人一人仕留めていくが。




WWEのスーパースターが集結して作られたアクション映画。

主演はWWEのスーパースター、マイク・“ザ・ミズ”・ミザニンで、他にボー・ダラス、ナオミ、カーティス・アクセル、ヒース・スレイターなどのWWEのスターも出演している。

真夜中の遊園地での肉弾戦や銃撃戦が延々と描かれているが、肉弾戦になると、いきなりリングの上のプロレスファイトのような段取りのバトルシーンとなり、なんだかちょっと可笑しいが、それでもちゃんとしたバトルにはなっている。

早めにアンナ・ヴァン・ホフトが死んでしまい、ギャングに狙われている男をザ・ミズがひたすら守るといういささか地味な設定だが、これはギャングのボス殺しには偶然の殺人ではない裏があるからで、後半それが発覚する。

ザ・ミズは、途中からは相棒だったアンナが死んだことの復讐心でギャングと戦っているように見える。

全体的には大味な出来だが、それがWWEのスターが善悪に分かれてアクション映画をやっていることに似合ってないこともない。

まあまあな一篇。 2020/01/28(火) 00:05:17 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

追悼 宍戸錠




宍戸錠さんが亡くなった。

個人的には日活アクション最高のスターだった。

「警察日記」でデビューした頃は二枚目系だったし、頬の整形手術を受け貫禄つけて悪役的な風貌になってからの、前に書いた「燃える肉体」「狂った関係」「拳銃0号」「街が眠る時」などでは所謂普通に悪役だったが、「昼下りの暴力」では善悪併せ持つ悪党役がハマり、さらに「渡り鳥」シリーズや「拳銃無頼帖」シリーズ、「流れ者」シリーズなどでの主役の小林旭や赤木圭一郎のライバル的悪党役は、かなり強い個性が成立した完全なハマり役となり、エースの錠という個性を見事に確立した。

その他、ハードボイルドに洒落のめした「探偵事務所23」シリーズや「稼業」シリーズ、コミカルな「河内ぞろ」シリーズや「ハレンチ学園」シリーズ、クールでシニカルな悪党ぶりが決まっていた「七人の野獣」シリーズの他、「野獣の青春」や、ご本人が最も気に入っておられたらしい「拳銃は俺のパスポート」、クールなハードボイルド「みな殺しの拳銃」、そして世界的には最も有名かもしれない「殺しの烙印」、藤竜也との終盤の名演が印象深い「流血の抗争」などなどは、特に思い出深い。

他にも奇天烈な味噌汁ウエスタン「早撃ち野郎」や「赤い荒野」「ひとり旅」、キッチュな面白さの「危いことなら銭になる」、「虎の子作戦」「拳銃残酷物語」「硝子のジョニー 野獣のように見えて」「大悪党作戦」や、「プレイガール」にゲスト出演した時のエースの錠役、「瞳の中の訪問者」のブラックジャック役に、「仁義なき戦い 完結編」の大友勝利役他などなども良かった。

洒落が効く人なようで「巨泉 前武のゲバゲバ90分!!」や「カリキュラマシーン」「元祖ドッキリカメラ」他などのバラエティ番組にも出演されていたが、よく似合っていた。

その他「警部マクロード」や「激突!」のデニス・ウィーヴァーの吹替もかなりハマっていた。

宍戸錠さんは今でも日本で一番バタ臭いという言葉が似合う人だと思っている。

日活無国籍アクションにはかなりキッチュに無理矢理外国風にしているおかしさがあったが、錠さんはその無国籍で外国的な風土の原住民のように自然とハマっていて、ただひたすらカッコ良かった。

晩年は錠さんとよく組んだ鈴木清順監督のような風貌になっていたが、最後にもう一度「拳銃は俺のパスポート」のような映画をやりたいと言われていたのに、それが叶わず亡くなられてしまったのが惜しまれる。

日本映画のレベルを上げた俳優であり、と同時に日本映画を支えてきた偉大な名優だった。

宍戸錠さん、ご冥福をお祈り致します。



2020/01/25(土) 00:29:13 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

『陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル』



ディート・モンティエル『陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル』再見。

9.11のテロ後の混乱する2002年ニューヨークで、市警勤務のチャニング・テイタムは、妻と病気の娘と穏やかに暮らしていた。

だが、実はチャニングには少年時代に二つの殺人に関わった過去があった。

その二つの殺人は、同じく市警察に勤めていた亡き父の相棒刑事のアル・パチーノが揉み消してくれた。

そんなチャニングに、過去に犯した事件を公にするという脅迫状が届く。

焦るチャニングだったが、部下のスキャンダルが発覚すると、自分の出世に響くことを恐れる上司のレイ・リオッタは事件を隠蔽するようチャニングに命令する。

追いつめられていくチャニングは、事件について調べていて、脅迫者から暴露的なネタを提供されている女性記者のジュリエット・ビノシュのところへ向かうが、話は平行線に。

しかしジュリエットは急に殺され、直前まで一緒にいたチャニングは容疑者になってしまう。




過去に殺人を犯した警官を描いたノワールサスペンス映画。

豪華キャストのわりにこじんまりした映画で、アル・パチーノすら脇役という感じだし、何かと地味である。

それが災いしてか興収も芳しくなかったようだが、映画自体はラストを除けば、それほど悪い出来ではなく、寧ろノワール映画の佳作の部類に入ると思う。

ディート・モンティエルは、前にここで書いた傑作「マンダウン 戦士の約束」を後に監督した才人だが、あそこまでの傑作ではないものの、こちらもノワールサスペンス映画としてはわりとよく出来てはいる。

過去の殺人の罪に怯えながら、脅迫者や過去の事件捜査が闇に葬られたことを追及するジュリエット・ビノシュの記者に対峙するチャニングの焦燥と緊迫した心理を、ちゃんとサスペンス描写として描き得ているからである。

だからこそ、せっかく最後までノワールサスペンスとしては上出来に描かれ、展開していくのに、最後のイマイチ不明瞭な対決描写や、どうにも納得行かない疑問が残るパッとしない終わり方が実に惜しいのである。

また、主役のチャニング・テイタムの描き方はいいし、チャニング自体も好演しているものの、せっかく枯れたいい味を出しているアル・パチーノの描き方、出し方、使い方が全てパッとせず、なんとも勿体ない扱い方で、名優を活かしきれていないところも残念である。

それなりにノワールサスペンス映画としては悪くないのに、終盤からラストにかけてが腰砕けに近くイマイチな上に、いい味を出しているアル・パチーノを活かせていないところが実に惜しい一篇。 2020/01/21(火) 04:22:19 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『海外ケンカ列伝』

泰仁『海外ケンカ列伝』再見、

空手が強すぎる田上敬久は、ある日暴漢を殺してしまう。

そのことから、田上は自らの道場で荒れに荒れて暴れるが、道場主の風間健に怒られ、酷い空手だから出直せと言われて破門にされてしまう。

怒って道場を飛び出した田上だったが、田上の強さに心酔する映像ディレクター千田公哉がやって来て、"あんたを追いかけたい"と言うと、田上は急にタイへと旅する。

タイに着くと、田上はムエタイのジムや路上でタイ人にやたらと喧嘩を売り、殴りまくるようになる。



元は正道会館の選手として活躍し、現・世界武道空手道連盟勇成會館館長の田上敬久が主演のセミドキュメントタッチの空手ケンカ旅映画。

格闘場面はガチなものではないようだが、さすがに生々しさが田上にはあり、セミドキュメントタッチが効いていないこともない。

だが田上の行動があまりにも唐突で、振り回されるディレクター千田も妙に熱に浮かれた感じのキャラなので、何とも突発的ないきなり展開の連続が妙に可笑しく、延々暴れ回る喧嘩旅が描かれていくばかりの殺伐とした内容なわりに、ヘンに愛嬌のあるVシネである。

謂わば、バラエティ番組のノリで作られたようなセミドキュメント風味のVシネマと言えばまあそうだが、田上が何をし出すかわからないキャラとして描かれているので、結局単調ではあるが、それなりに飽きずに見ていられる。

タイで暴れまくった後、田上は台湾へ行き、そこでリー老師という老いた達人と戦うことになるが、完敗した田上は負けを認めて老師に弟子にしてくれと頼み、少しは悟って終わっていくが、そこも唐突にそうなってエンドという感じである。

延々暴れ回る狂犬格闘家を、ただ追っかけて撮っただけなような荒くて拙い描写にも見えるが、セミドキュメント風味な上に主役が本物の空手家なので、生々しくも見えるところもあり、中々不可思議な味わいと奇妙な愛嬌がある一篇。 2020/01/18(土) 00:05:56 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『三十路女 巨乳はじける』

竹洞哲也『三十路女 巨乳はじける』、

櫻井ゆうこの家では、姉の若林美保と友人の倖田李梨が集まっては、女同士で下ネタトークをして盛り上がっていた。

櫻井は昔ラジオのDJをしていた。

リスナーのハガキを読みピアノを弾く櫻井の番組は人気があったものの、打ち切られることになり、櫻井はDJを辞め、ディレクターの岩谷健司も辞めてしまう。

地元に帰ってくすぶる櫻井を、岩谷も追って戻り、今は農業をやっている津田篤の手伝いをしていた。

岩谷はまだDJとしての櫻井を諦めておらず、櫻井にもまだ未練があった。

若林は、アラサーの櫻井に彼氏がいないことを心配して、櫻井に役所の観光課のアイドル岡田智宏を引き合わせるが。




アラサー女子のラブコメ風青春映画。

田舎に帰ってきた元DJの櫻井ゆうことディレクターを辞めて櫻井を追いかけてきた岩谷健司の不器用な恋愛と、まだDJに未練がある櫻井の青春が描かれている。

変な型にはめたような台詞のやり取りがイチイチ鬱陶しく、それが妙にスタイリッシュにしているわりにダサいので、どうにも興ざめさせるテイストとなってしまっているのが惜しいが、櫻井とは対照的に田舎での性生活を謳歌しているような若林美保や倖田李梨と櫻井とのバランスもよく、一応コミカルなラブコメにはなっている。

スタイリッシュなのにダサい台詞のやり取りはうざいものの、岩谷と櫻井の不器用な恋愛展開も悪くないし、DJに未練を残す櫻井の青春映画としてもいい味わいなだけに、もっと普通の台詞のやり取りで撮れば、それなりの佳作になったであろうなと思わせる作品である。

そんな、難点は残念だが、ドラマ的にはそう悪くもない一篇。 2020/01/14(火) 00:04:47 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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