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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 山本昌平




山本昌平さんが亡くなった。

一時期のピンク映画や、「荒野のダッチワイフ」に出演されていたが、思えば、同映画の出演者の港雄一氏も山谷初男氏も今年亡くなられた。(ご冥福をお祈り致します)

つまり、かってのピンク映画のスターが今年一気に亡くなられてしまったということだ。

山本氏は、その他東映映画や、刑事ドラマ、時代劇の悪役、または「プロレスの星 アステカイザー」のサタン・デモン、「電子戦隊チェンジマン」のギルーク司令官、「スターウルフ」のハルカン司令などの特撮ものの悪役も印象深い。

また、怪人二十面相役もよかった。

Vシネマでは、先日書いた「やくざの憲法 赤字破門」や、「実録・大阪やくざ戦争 報復」他などで主に組長役を演じられることが多かったが、あの鷹のような鋭い顔立ちには、実に強い存在感があった。

その独自の名演も忘れ難い。

好きなバイプレイヤーさんだった。

山本昌平さん、ご冥福をお祈り致します。



2019/11/30(土) 02:25:17 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 八千草薫




八千草薫さんが亡くなった。

宝塚歌劇団出身で、在団中のまだまだ若い頃から映画でもよく好演していた。

特に鈴木英夫監督の「若い瞳」の女学生役や、「殉愛」の特攻隊員鶴田浩二の、哀しい最後を遂げる妻役、「白夫人の妖恋」他などで好演していた。

この初期に出演した、稲垣浩監督の「宮本武蔵」シリーズの、品格の中に熱い情念を迸らせていたお通役は、個人的にはベストの名演だった。

歴代のお通役の中でも一番だと思う。

その他「田園に死す」や「ガス人間第一号」、「蝶々夫人」や「サトラレ」、ドラマ「岸辺のアルバム」、「福家警部補の挨拶」最終話の悲しい犯人役、「執事 西園寺の名推理」の伊集院百合子役他などなどの好演なども特に思い出深い。

若い頃から品の良い優しげな美しさがあり、それは老いて尚、変わらない魅力だった。

人間的な品格と優美さが、一つの強い個性となり、それを若い頃から晩年に至るまでずっと盤石なものとして貫徹されていたような方だった。

それでいて、その品格と優美さの中に、熱い情念が渦巻き、葛藤している生々しさが静かに露出してくるところに、女優としての天賦の才と実力が垣間見えた。

謂わば、日本が世界に誇るべく品格と優美さを持った素晴らしき方だったと思う。

八千草薫さん、ご冥福をお祈り致します。







2019/10/29(火) 00:06:01 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 川又昂




撮影監督の川又昂氏が先日亡くなった。

松竹映画の多くの作品にキャメラマンとして尽力された。

主に野村芳太郎監督作品でよくキャメラを担当されていた。

特に「砂の器」「八つ墓村」のダイナミックな映像は、映画自体をかなり風格あるものにしていた。

また「左ききの狙撃者 東京湾」の鋭いカメラワークにも感慨深いものがあった。

漫画原作の映画化「ダメおやじ」は、わりと軽妙な人情喜劇映画ではあるが、クライマックス場面などは中々堂に入った画面で、映像的に厚味があるように思われ出色だった。

また「東京ド真ン中」の渥美清の面白さを見せ切った撮影も印象深かった。

松竹ヌーヴェルヴァーグ系監督の高橋治「死者との結婚」「彼女だけが知っている」のサスペンスを醸成したカメラワークや、大島渚の「太陽の墓場」「青春残酷物語」などにおける映画的に鋭いカメラワークは実に秀逸だった。

同じく大島の「日本の夜と霧」における長回し撮影は、かなり映画的な魅力に溢れていてこちらも見事であった。

「震える舌」では、幻想的かつ現実的(または生活的)などという不思議な感覚のショットの数々を視覚化し、実に特異な世界を実現しており、こちらもかなり素晴らしかった。

まさに日本映画を支えてこられた、偉大なる撮影監督だった。

川又 昂さん、ご冥福をお祈り致します。






2019/10/12(土) 10:32:52 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 ピーター・フォンダ



ピーター・フォンダ氏が亡くなった。

やはり世間的な代表作は「イージー・ライダー」ということになるだろうが、個人的には「ダーティ・メリー /クレイジー・ラリー」「悪魔の追跡」「ダイヤモンドの犬たち」「怒りの山河」「アウトローブルース」「ハイローリング」他の70年代B級アクション映画のスターとして好きだった。

青春アクション映画という感じの「ダーティ・メリー /クレイジー・ラリー」はやはりカーアクション映画として面白かったが、ピーターの無軌道な若者ぶりもハマってるなと思った。

「悪魔の追跡」は邪教集団と戦うオカルト映画なのに、カーアクションと銃撃戦が目立つという70年代B級映画のエキスを全てぶち込んだような面白さだったが、そんな70年代B級映画総めくりのような内容にピーターがとても似合っていた。

「ダイヤモンドの犬たち」は悪党ばかりのクライムアクションとしてかなり面白い映画だったが、テリー・サバラスと共に、ピーターがとてもよい味を出して好演していた。

ジョナサン・デミの「怒りの山河」は70年代B級アクションの定番にして見本のような映画だったが、そんな映画の主役など、やはりピーター以上に似合う人はいないと思う。

前に書いた「ハイローリング」も、いかにもピーターに似合うトラック野郎アクション映画で、70年代B級アクションの見本のような思い出深い映画だが(ビデオタイトル「コンボイ・クラッシュ」)、後々のトロイ・ダフィー監督の「処刑人Ⅱ」に、「ハイローリング」で素晴らしく良い味わいの悪役を演じていたデヴィッド・フェリー(ドリー刑事役)とピーターが揃って出演し、見事に「ハイローリング」の主役、悪役が揃って出演してくれたのはとても嬉しかった。

「アウトローブルース」も、リチャード・T・へフロン監督のコミカルなアクションタッチにピッタリで、これもピーターの代表作の一つだと思う。

その他、後のスティーヴン・ソーダバーグの「イギリスから来た男」で、70年代カルトスター的な「コレクター」のテレンス・スタンプと「バニシング・ポイント」のバリー・ニューマンと共演していたが、このキャスティングが嬉しかった。

浮き沈みの激しい俳優人生から、"若い時は名優の父ヘンリーの息子、その後は派手な大スターの姉ジェーンの弟、老いてからは娘ブリジットの父親"というような言われ方もされたようだが、しかしピーター氏にはやはり上記の、世間的には不遇な時代と言われる「70年代B級アクション映画のスター」という、れっきとした黄金時代があり、その時代に活劇映画の面白さを、ピーター氏にしっかり楽しませてもらったこちらとしては、やはりハリウッド映画を代表する大スターが亡くなったという実感の方が強い。

個人的には90年代末の「木漏れ日の中で」での老いた養蜂家役で、ゴールデングローブ賞 映画部門 主演男優賞 (ドラマ部門)を受賞し、オスカーにもノミネートされた栄光以上に、「70年代B級アクション映画のスター」というピーター氏の黄金時代の栄光の方が大きく光輝いて見えるのだ。

だって「イージーライダー」の主役である以上に、B級B級と言ったってね、「ダーティ・メリー /クレイジー・ラリー」や「悪魔の追跡」を昔「月曜ロードショー」で何回放送したと思ってるんだ。

「ダイヤモンドの犬たち」も「日曜洋画劇場」でよく見た気がするし、「怒りの山河」はテレ東系や深夜枠多しと言えど、何度も放送されているのである。

「アウトローブルース」なんか、イーストウッドの「ガントレット」との二本立てで正月映画として公開されており、正月に封切りで観に行って、あまりの最高最強の二本立てに熱狂したものだ。

70年代当時の正月映画なんて、映画興行としては最大のお祭り感があったのだが、その正月映画の主役を張ってるスターを掴まえて、不遇だの何だの言われてもな、頭おかしいのか?としか当時の日本人のこちとらとしては思えないのである。(苦笑)

「ハイローリング」も、当時れっきとした駅前の大ロードショー館で何度か上映されていたのである。

だから「70年代B級アクション映画のスター」というのは、やはりピーター氏の黄金時代だと言いたいし、言うまでもなく、ハリウッド映画を代表する素晴らしい名優だったのである。

ピーター・フォンダさん、ご冥福をお祈り致します。









2019/08/20(火) 05:23:00 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

追悼 ルトガー・ハウアー




ルトガー・ハウアー氏が亡くなった。

やはり「ブレードランナー」で鮮烈な名演を残した人だったが、最初は「ナイトホークス」の悪役がかなり印象深かった。

その後「ヒッチャー」でもかなり強烈な怪演を見せていたが、「バイオレンス・サタデー」や「聖なる酔っ払いの伝説」の時は渋い役者さんだなと思った覚えがある。

アメリカ版座頭市みたいな「ブラインド・フューリー」や、殺人ゲーム的な内容の「サルート・オブ・ザ・ジャガー」などは、映画自体にも役どころにもよく似合っていた。

また、ブクブクに太った風貌で悪役として出演した「サバイビング・ゲーム」は、ゲットーから脱出する黒人を暗喩的に描いたような人間狩り映画だったが、やはりハウアー氏の悪役に風格と不気味さがあるから、映画自体、臨場感ある秀作になったのだと思う。

その他「ルトガー・ハウアー/危険な愛」「ウェドロック」「レディホーク」、自ら製作総指揮までやった「処刑脱獄」、「デザート・ソルジャー」、クレジットはないが、タランティーノが脚本のリライトを担当した「ミッドナイト25時/殺しの訪問者」や、「ホーボー・ウィズ・ショットガン」「バットマン・ビギンズ」「シン・シティ」他での好演もよかった。

「ブレードランナー」での重要な台詞が実はアドリブだった話は有名だが、「デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー」で語られた、ハウアー氏の「ブレードランナー」に賭ける意気込みは、まさに役者の根性や役者魂に満ち溢れたものだった。

「ブレードランナー」のほとんどのスタッフやキャストが、当時も今も、混迷とトラブルとバトルとアクシデントの連続だった撮影現場への愚痴や困惑を主に語っている中、ハウアー氏だけは映画に命を張る役者魂の何たるかを語っていて、感銘を受けた覚えがある。

ハウアー氏は悪役として日本でも有名人気俳優となったことから、今ならほぼ速攻DVDストレートか未公開扱いにしかならないようなB級サスペンスアクション映画の主演作の多くが、一時期わりかし映画館でちゃんと上映されていたことが妙に思い出深い。

確かに「ブレードランナー」や「ナイトホークス」「ヒッチャー」の名優なのだが、個人的にはどうしてもルトガー・ハウアー主演B級映画を劇場に観に行っていた時代が一番思い出深い。

つまりB級映画のスターとして、ある一つの時代を作った人でもあるということである。

実に素晴らしき名優だった。

ルトガー・ハウアーさん、ご冥福をお祈り致します。







2019/07/27(土) 00:06:41 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)
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