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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『婚活バトルロワイヤル』




廣田幹夫『婚活バトルロワイヤル』再見、

時は2015年。
世界同時不況により日本経済にも不況の嵐が吹き荒れ、失業率は35%以上、自殺者は年間15万人という時代になっていた。

そんな時代に生まれた、国民を熱狂させる、視聴率80%超えのTV番組が「24時間耐久!婚活バトルロワイアル」。

借金まみれの女たちが様々なゲームに参加し、勝者は中国人の超セレブと結婚出来るが、敗者には過酷な罰ゲームが待ち受けていた。

売れない自称アイドル浜田翔子も借金だらけの極貧生活を送っていて、このバトルロワイヤルに参加することになる。

他にも、同じく多額な借金を抱えている派谷恵美、川村りか、近野衣里、浜崎慶美、友田彩也香が参加し、バトルを繰り広げるが。




バトルロワイヤル系の婚活版。

元々2011年の作品なので、設定が2015年というのは、今を遡る過去設定ではなく、近未来という意味合いである。

一応、『バトルロワイヤル』のVシネ版の亜流で、今の婚活バラエティ「バチェラー」の、過剰に荒唐無稽にしすぎた原型という見方も、まあまあ出来なくもない。

非情で過酷な設定ではあるが、随分脱力的なコミカルタッチで描かれている。

様々なゲームというのも、アイロン掛け対決だの、りんごの皮剥き対決などと他愛ないものだが、りんごには爆弾入りのものが混ざっているので、剥き方をミスると、りんごが爆発してしまうデンジャラスなものではある。

実際、剥き方をしくじってりんごが爆発し、手を怪我したり、火薬の量が多すぎて爆死したりすることに。

最後は浜田翔子と、子持ちで浜田に助言する女・派谷恵美、それと会社を潰して借金まみれの、したたかな女社長川村りかの対決となる。

ここでそれぞれに武器が与えられ、襲い来る袋を頭に被った男たちから身を守るゲームが行われるが、バットを振り回して暴れる川村りかに、やたらに迫力がある。

白のウエディングドレス姿で黒バットを振り回す川村りかは、男たちだけでなく、優勝したいがために派谷までバットでぶん殴って徘徊するのだが、その姿が妙に逞しく、様になっており、さすがブラックマスカッツのリーダーらしく、ビッチでワイルドな悪女役を存在感満点で好演している。

願わくば、主役の浜田翔子とのバットを振り回してのバトルシーンが欲しかったが。

最後は中国の御曹司が、番組中に失脚してスポンサーを急遽降りたため、番組を仕切っているプロデューサーの森本のぶが、川村や浜田を襲い、勝利者無し=優勝賞品無しの結末にしようとする。

しかし浜田は、殺されたり過酷な罰ゲームを強要された女たちの復讐を果たし、その後、アイドルとしてブレイクして終わっていく。

浜田がゲーム後に、爆弾入りとは知らずに楽屋に持ってきてしまったりんごや、最後のゲームで浜田に与えられた武器である水鉄砲が、終盤、伏線回収的に機能するところは中々巧い。

脱力的なコミカルタッチと非情で冷酷なバトルロワイヤル設定が融合した作風だが、全体的にCG処理他などが低予算Vシネらしく安っぽいものの、まあまあそれなりにまとまっている一篇。 2019/11/19(火) 00:06:04 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『マネーハンター美鈴 極嬢が企む甘くキケンな誘惑 』




あらかきヨシヒロ『マネーハンター美鈴 極嬢が企む甘くキケンな誘惑 』、

台湾からやって来た謎の女・美鈴(メイリン)=栄川乃亜は、20年前に父親が米軍からギャングして隠した現金90万ドルを探し出すために、沖縄にやって来る。

自分の体を使って男たちをたぶらかしながら金に近すぎ、途中出会った安泉清貴と恋愛関係になりながら、栄川は90万ドルをなんとか手にするが、父の強盗仲間だった地元琉球裏社会のボス越智俊光も90万ドルを狙っていて、金を横取りしようと栄川を襲うが。




琉球裏社会に体を張って金を奪いに来た女・美鈴を描いたノワールアクションVシネマ。

オール沖縄ロケ、役者陣も沖縄の面子で固めている。

栄川乃亜は、鋭い視線の美人顔がこういうアクションものに似合い、絡みのシーンもガッツリやって、役にはかなり合っているが、どうも全体的に浮ついた出来である。

荒唐無稽なガンアクション含む派手なアクションシーンなどはあるものの、イマイチ全体にスカスカ感があり、あんまり迫力や緊迫感が持続しない。

それに役者陣の芝居ももう一つで、演出にも軽さが見られるため、栄川の適役ぶりがあんまり活きてこないのである。

安泉清貴が随分甘い善玉役なようで、実は色々訳ありな事情が語られていくが、それもどうにも軽く描かれすぎている。

栄川の数奇な運命が終盤描かれても、そちらもどうにも軽すぎて、ドラマ的な臨場感があんまりない。

だいたい栄川は善玉的に描かれてはいるが、やってることは、親父の金を取り返しに来たのではなく、親父が昔強盗やって隠した金を奪いに来ているのだから、善玉でも何でもない。

金の話を栄川にした、彼女の母も、旦那が盗んで隠した大金を、娘に強奪させようなんてなんちゅー母親だよと思うが、それに対し、娘の栄川は「お母さんにこの金で楽させてあげたい」などと綺麗事を言うから呆れ返る。

それにこの母は沖縄にやって来てからも、娘以上の強欲ぶりを見せ、悪役の琉球裏社会の連中やボスの越智俊光らばかりが悪いようにはとても見えないのである。

まあその辺はノワール的と言えばそうだが、その割には栄川や母親を妙に善玉的に描き過ぎていて整合性がない。

全体的にスカスカなテイストな上に、チグハグなところも散見されるイマイチな一篇。 2019/11/12(火) 02:04:01 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『制覇7』




港雄二『制覇7』、

難波組新道会若頭の小沢仁志は、勇進会々長の松田優の裏切りを自白させる。

その代償として、松田は浜松の一家吸収を難波組若頭下元史朗から命じられる。

松田は一人で浜松に乗り込むが、浜松の天竜一家総長・高岡健二には相手にされなかった。

だが、天竜一家の組員たちは松田が喧嘩をしに来たと思って、松田を襲撃し誘拐する。

難波組は一家総出で、天竜一家壊滅に乗り出すが、若頭補佐新道会々長の白竜は、小沢を浜松へ向かわせる。

天竜一家と松田の手打ちか戦争かの二択状況になるが、松田は自らの意志を貫く。




シリーズ七作目。

前作で川原英之のシャブ中ヤクザを処分したことにして、実は逃していたことが小沢仁志に発覚し、松田がその責任を取らされることになるところからお話が始まる。

途中までは、任侠道に憧れてヤクザになったのに、現実のヤクザは最も男らしくない
生き方だと悟り、絶望してしまった松田の心境がメインで描かれていく。

浜松の一家総長高岡のところへ行くも、相手にされなかったことから松田は黙って地元に帰るつもりだったのに、浜松一家のチンピラが松田を襲った事から抗争に発展していく展開である。

しかし話を収めようと白竜と小沢が動いたにも関わらず、ヤクザの打算的な生き方にかねてから嫌気がさし、せめて任侠道を生きる武士として死にたいと思っていた松田は、高岡を刺し、自らも弾かれて死ぬ。

その後は病院で瀕死の高岡を松田の子分が殺すも、高岡の子分はその報復として、女装して大組織難波組のトップの樋口隆則を襲撃。

ついに小沢をメインとした難波組が攻撃に出て、浜松天竜一家壊滅となる。

前半から天竜一家の問題児にしてバーをやっている倖田李梨のヒモであるチンピラが随所に描かれているが、それはこのチンピラが難波組トップを襲うまでのサイドストーリーとして描かれているのだろう。

珍しく、いつもはエンドロールで流れるのみのAZUMIが歌う「播州平野に黄砂が降る」が、このチンピラが倖田に女装の手助けをしてもらう場面でも趣深く使われている。

ラストは白竜が、大組織の統制の緩みを対立している若頭の下元史朗らにハッパをかけて終わって行く。

展開もフレキシブルだし、白髭生やした高岡健二も松田優も中々味のある好演を見せている。

また主役というより、事態や物語のまとめ役のような白竜や小沢仁志も貫禄の存在感を見せている。

集団抗争劇の中に、様々な人間関係や、それぞれの思いがあることをわりと丁寧に描いているところが秀逸。

そんな悪くない佳作な一篇。 2019/11/02(土) 15:00:43 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『処女教師 日菜子』

阿知波孝『処女教師 日菜子』、

日菜子=及川奈央は、とある交際術スクールで、女とうまく付き合えない男たちに、女性心理やベッドマナーなどを教える講師をしていた。

日菜子は生徒たちの憧れのマドンナだったが、まだ処女だった。

中には日菜子に告白してくる生徒までいた。

日菜子は日々、チャットで男を翻弄したり、チャットによる擬似SEXで性欲を解消していたが、ある時、スクールの校長が自分のチャット相手が日菜子だと知り、日菜子の処女を狙い出す。




AV女優時代初期の及川奈央主演のVシネマ。

Vシネエロスぐらいのソフトな内容で、一応ちゃんとしたドラマはある。

とは言え、引きこもりの弟を大事にする及川というキャラ付けぐらいで、後は講師として女性との交際術を際どい内容の授業で上から講義するくせに、実はまだ処女で、チャットでしか男と交流出来ないという矛盾が描かれるばかりである。

そのうちスクールの校長がチャット相手が及川だと知り、前から目を付けていたのに袖にされ続けたこともあってか、生徒たちを使って及川の処女を輪姦によって奪うという展開となる。

しかしそれまで金科玉条のごとく及川の処女というものを一つの牙城のように描いてきたわりには、いともあっさり処女喪失する場面が淡々と描かれるのみで、おまけに輪姦されて処女喪失しているのに、及川に大して精神的ショックがあるようには見えないというシュールなまでに盛り上がらない展開描写となっている。

そんな腰砕けでサラサラに薄い描写なくせに、何でタイトルが「処女教師 日菜子」などと麗々しいのか意味がわからない。

結局最後も、及川が単にスクールの講師を辞めるだけでハッピーエンドになるという、かなりなあっさり感の終わり方で幕を引く。

及川の棒読み台詞のたどたどしさも気になるが(この頃に較べると、今の『むこうぶち』シリーズでの及川は、少しは芝居がマシになったなと思う)、作劇自体のチグハグ感も気になる一篇。 2019/10/15(火) 00:05:11 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『CONFLICT ~最大の抗争~ 外伝 織田征仁』




藤原健一『CONFLICT ~最大の抗争~ 外伝 織田征仁』

2011年、天道会は関東を牛耳っていた。

古き任侠道の天道会に対抗し、三東会は若いハングレを利用してのし上がってきた新興勢力だった。

天道会は、三東会をどう潰すかを思案していた。

その頃横浜では、尽誠会が地元ヤクザと手を組み利権を狙っていたが、その横浜には、天道会若頭補佐・宅麻伸の弟で、織田同志会という愚連隊をやっている織田征仁=的場浩司がいた。

的場は横浜で、自分の縄張りを荒らす奴は、ヤクザだろうと何だろうと容赦なく半殺しにしてシマを守っていた。

だが、織田同志会は、大組織の尽誠会ともぶつかり対立する。

天道会は抗争寸前の状態だったが、若頭の片桐竜次が引退すると告げ、跡目は、宅麻伸と小沢仁志が候補に上がる。

片桐は宅麻を推していて、宅麻に、跡目を継ぐ前に、弟の織田同志会と尽誠会の対立を鎮めるよう勧告する。

宅麻と的場のリアル兄弟は、久しぶりに再会するが。




「CONFLICT」シリーズのスピンオフ的外伝。

後に天道会最凶の狂犬と呼ばれる織田征仁=的場浩司が、天道会の若頭となる鷲尾一馬=小沢仁志に出会い、天道会傘下に入るまでを描いた作品。

しかしまだこのパート1では、的場と小沢の出会いはなく、寧ろ的場と実兄の宅麻伸の挿話の方が多く語られ、若頭の跡目候補も小沢より宅麻の方が優勢な状況だったりする。

あくまで的場が愚連隊のトップとして暴れ回る姿がメインで描かれている。

的場浩司俳優生活30周年記念作品だからか、的場はいつも以上にイケイケなマッドドッグぶりで弾けまくっている。

まずは自分のシノギである店のホステスを勝手に引き抜いた店が、組織の息がかりだろうが関係なく、そこのヤクザを火あぶりに。

その後も縄張りを荒らす奴やケチつけてくる奴は、大組織の組員だろうが何だろうがボコボコにするだけじゃなく、頭の皮は剥ぐわ、口をナイフで切り裂くわ、目ん玉引っこ抜くわ、と、もう石井輝男の『やくざ刑罰史 私刑』や、一時期の三池崇史や北野武映画にあったようなスプラッタバイオレンスシーン連発の狂犬ぶりで、中々テンションの高いアクション場面の連続である。

的場の実兄役で友情出演の宅麻伸は身体がかなり悪い中、弟の的場を安じる役どころだが、的場はあくまで我が道を行き暴れまくる。

尽誠会の大物役をピンク映画の名優、吉田祐健が貫禄ある演技で好演している。

また尽誠会の傘を着て的場の縄張りを荒らす横浜の組織の宮本大誠も、情けない気弱さを滲ませてイキがりながらも、結局的場にボコボコにされる姿が、今より少し若い頃の石橋蓮司を彷彿とさせ、こちらも中々人間臭く好演している。

やはり的場のマッドドッグぶりと、それ故のスプラッタバイオレンス連発のテンション高いアクション場面が出色で、全体的にも面白味がある一篇。 2019/10/08(火) 00:56:26 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)
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