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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『団地妻は、わけあってヤリました。』

仁同正明『団地妻は、わけあってヤリました。』

団地に住む三人の主婦戸田真琴、川上奈々美、大槻ひびきは、自ら「団地妻」であることを意識しながら、時には下ネタ混じりのトークに花を咲かせて談笑していた。

しかし皆、表向きは平和な夫婦ヅラをしているが、それぞれ問題を抱えていた。

戸田は、夫がかって同性の男と浮気したことを気にしており、川上は渋々団地に住んでいて退屈していた。

大槻はエロトークばかりしているが、影で売春をしている噂が立っていた。




リバプール・男の週末レーベル作品。

お笑いコンビ・かもめんたるのメンバーで脚本家としても活動している岩崎う大がシナリオを書いている。

日活ロマンポルノの団地妻シリーズにオマージュを捧げた作らしいが、パロディにしか見えないし、どこか小劇団のパロディコント劇のようである。

しかしそれは一概にそう悪いことでもなく、通常のピンクやロマンポルノ、またはVシネエロス系の有りがちな定番テイストを、芸人が脚本を書いたこの小劇団のパロディコント的タッチが壊しているので、三人の団地妻がちゃんと独特にキャラ立ちしたものになっている。

男優陣も中々豪華で、三人の妻たちの夫役を芸人の平井"ファラオ"光、「カメ止め」でブレイクした濱津隆之、篠原正明が演じていて、三人ともよく個性が出ている。

最初の三人の団地妻の下ネタトークをダラダラ見せる描き方も中々異色でいいし、夫婦の問題にも捻りが効いていていいのだが、残念なのは、それ以上には盛り上がらない点だろう。

結局のところ、お話自体は大して面白くもならず、ただコント的なタッチや、随所の笑いの取り方が異化効果として浅く機能しているだけでしかない。

それがドラマ的に、または映画的に面白くなるという連動はなく、なんだか尻つぼみで終わってしまう。

つまりコント劇にはそこそこなってはいるが、ドラマには大してなっておらず、あまり深みがないところが難点だろう。

この手のまあまあ異色作とは言えるが、結局そこまでで、感心出来る出来とは言い難いのが惜しい一篇。 2020/06/30(火) 00:06:41 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『女のほんね 人と人の性愛に関するありさま』

片岡修二『女のほんね 人と人の性愛に関するありさま』、

佐山愛はデザイナー、里見遥子は構成作家、友田真希は実業家の妻で、3人は世代は違うが、同じエアロビ教室に通う気の合う友達だった。

3人はいつもお喋りをし、その中でそれぞれが自分らしい幸せを見つけようと、真実の愛やときめきを求めて恋愛してきた話を繰り広げていく。



所謂、恋愛やセックスに関する女の本音を語り合う女子トークラブドラマ。

その合間に回想的に、それぞれの恋愛遍歴や恋愛現場でのエピソードが語られていくが、要するに、女の本音で"男の品定め"が三者三様に延々語られていくだけである。

"真実の愛やときめきを求めている"とか何とか言ってるが、とてもそんな風には見えず、恋愛も不倫も全て自分たちの快楽のためにあり、それが盛り上がれば楽しみ、つまんなくなれば終わりというそれだけのことである。

それならニューセレクトあたりが輸入してくる洋ピンのだらしなさと同じようにも思えるが、一応そうだらしない作りでもなく、簡潔にエピソードを繋いで、それぞれの恋愛エピソードをわかりやすく描いているので、あんまり退屈はしない。

佐山愛の二股恋愛はなんてことない話でもまあまあコミカルだし、里見遥子の仕事中の不倫はありがちだが、友田真希が親子ほど年下の若い男を飼い馴らす不倫エピソードなども中々エロっぽく様になっている。

最後は結局、男はみんな三人の女の一時の快楽の消耗品のように捨てられて終わり、という顛末だが、終始カラッとした明るさのコミカルタッチなので、まあまあなんだかユルく見てられる。

所謂、艶笑ポルノ的な大らかさの、なんてことはない一篇。 2020/05/12(火) 15:45:03 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『ZAP!運が良けりゃの話じゃん!』




高橋正治『ZAP!運が良けりゃの話じゃん!』再見、

ある日、ニューヨーク在住の鈴木雅之のところに親友の新藤栄作の訃報が届く。

どうやら麻薬ビジネス絡みのトラブルから新藤は殺されたと睨んだ鈴木は、すぐに日本に帰国し事件を追う。




シンガー鈴木雅之音楽・主演のアクション映画的なVシネマ。

全編に鈴木雅之の曲が流れる、どこか鈴木のPVみたいな作品だが、横浜を舞台にしたコミカルなソフトアクションタッチにはちょっとセントラルアーツ的なところもあり、鈴木雅之もアクション映画の主人公をクールなまでに激することなく、飄々とコミカルに演じているのが様になっているので、中々悪くない。

鈴木雅之のルックスや、ソウルフルな鈴木の楽曲使用、またはダッチ・チャージャー他などのヴィンテージなアメ車が登場するところは、妙にブラックムーヴィー系B級アクション映画を想起させる。

悪役のラスボスをまだ髪の毛フサフサの頃の藤堂新二が演じ、鈴木の後輩の車屋を、同じラッツ&スターの新保清孝が演じている。

相手役は原日出子だが、途中、藤堂の敵の綾田俊樹の女、冴島奈緒と鈴木の絡みのシーンもある。

吉澤健の、こちらも飄々とした悪徳刑事役も中々良い味わいである。

バブル期の作品なので、Vシネマにも今より予算があったのか、セットやヴィンテージなアメ車なんかに余裕が感じられ、高橋正治監督のモーションピクチャーとしての基本に忠実な丁寧な映画的描写にも豊かさが窺える。

ラストにちょっとどんでん返しする展開だが、肩の凝らない、横浜を舞台にしたソフトアクション・コメディとしては、それなりにちゃんとした出来だと思う一篇。 2020/04/14(火) 03:28:57 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『デリバリー・ガール 最上級のお届けものです』

神野太『デリバリー・ガール 最上級のお届けものです』、

亜崎晶とくらもとまいは、元の職場に不満を感じていたのもあって、二人で移動式レストランを開店させる。

しかし人気はイマイチであわや閉店というところまでいくが、二人はビキニとホットパンツのスタイルでデリバリーを始め、人気となる。

しかしそれも次第に飽きられ、いよいよ二人は過激な接客サービスを始めることに。





まさにタイトル通りまんまのシンプルな内容である。

フレッド・オーレン・レイの「ビキニ航空」とか、新東宝の「日米花嫁花婿入替取替合戦」と同じく、タイトル以上でも以下でもない、まさにタイトルまんまの薄い中身のVシネである。

要するに女二人が移動式レストランを始めたが客が来ないのでエロサービスを増やしてなんとかやっていこうとするという、それだけのことである。

オカマの友達が二人の間に入ったり、男尊女卑の職場のハラスメントからの独立だとか、だんだんエロサービスを過激にしていかないと飽きられることへの焦りと葛藤を描いてはいるが、まあ極めてシンプルな展開で終わっていくだけである。

ただこの展開だと、普通は客を取るためにサービスを過激にしてどんどん酷いエロ地獄に堕ちてしまうという風にも描かれがちだが、その辺りは中々ソフトタッチで、元愛人の男が借金の代わりに枕営業を強要しても、相手の男は童貞とすでに不能になってるその親父で、二人の女は自分たち主導で童貞卒業とインポの治療をしてやって喜ばれ、元愛人の男も女を騙したりせずちゃんと借金をチャラにしてくれたりして、結局妙にまったりしたハッピーエンドで終わっていく。

まあその辺のまったり感も、「ビキニ航空」や「日米花嫁花婿入替取替合戦」と似ていなくもない。

そんなまるでタイトル通りの、軽くてシンプルでまったりした、全くどうということもない一篇。
2020/04/04(土) 15:44:33 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

『海外ケンカ列伝』

泰仁『海外ケンカ列伝』再見、

空手が強すぎる田上敬久は、ある日暴漢を殺してしまう。

そのことから、田上は自らの道場で荒れに荒れて暴れるが、道場主の風間健に怒られ、酷い空手だから出直せと言われて破門にされてしまう。

怒って道場を飛び出した田上だったが、田上の強さに心酔する映像ディレクター千田公哉がやって来て、"あんたを追いかけたい"と言うと、田上は急にタイへと旅する。

タイに着くと、田上はムエタイのジムや路上でタイ人にやたらと喧嘩を売り、殴りまくるようになる。



元は正道会館の選手として活躍し、現・世界武道空手道連盟勇成會館館長の田上敬久が主演のセミドキュメントタッチの空手ケンカ旅映画。

格闘場面はガチなものではないようだが、さすがに生々しさが田上にはあり、セミドキュメントタッチが効いていないこともない。

だが田上の行動があまりにも唐突で、振り回されるディレクター千田も妙に熱に浮かれた感じのキャラなので、何とも突発的ないきなり展開の連続が妙に可笑しく、延々暴れ回る喧嘩旅が描かれていくばかりの殺伐とした内容なわりに、ヘンに愛嬌のあるVシネである。

謂わば、バラエティ番組のノリで作られたようなセミドキュメント風味のVシネマと言えばまあそうだが、田上が何をし出すかわからないキャラとして描かれているので、結局単調ではあるが、それなりに飽きずに見ていられる。

タイで暴れまくった後、田上は台湾へ行き、そこでリー老師という老いた達人と戦うことになるが、完敗した田上は負けを認めて老師に弟子にしてくれと頼み、少しは悟って終わっていくが、そこも唐突にそうなってエンドという感じである。

延々暴れ回る狂犬格闘家を、ただ追っかけて撮っただけなような荒くて拙い描写にも見えるが、セミドキュメント風味な上に主役が本物の空手家なので、生々しくも見えるところもあり、中々不可思議な味わいと奇妙な愛嬌がある一篇。 2020/01/18(土) 00:05:56 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)
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