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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『農家の嫁 あなたに逢いたくて』




榎本敏郎『農家の嫁 あなたに逢いたくて』、

ガールズバーで働く35歳の水谷ケイは、店にやって来た農家の長男の浜田学が酔っ払った勢いで求婚してきた後、シラフに戻ってからも求婚してくる熱意に押されて関係を結び、やがて結婚する。

水谷は、水商売の世界から農家の妻になり、農業を行うことに戸惑いつつも、嫁として暮らしていくが、最初は厳しい目で見られていたものの、徐々に嫁として受け入れられていく。

そんな折、浜田が新たに取引をしようとしている業者の吉岡睦雄がやって来るが、実は吉岡はかつて水谷と付き合っていて、水谷を騙した男だった。

吉岡はまた水谷を誘い、浜田の取引を成立させたければ自分に応じろと言いだし、もし断れば取引を破断にすると言ってくる。

水谷は夫の夢の実現のために、仕方なく吉岡のいるホテルへ向かうが。





『ラブストーリーズ』シリーズの第6弾作品。

このシリーズはシーズン2もそうだが、一時代前にグラビアで鳴らしたグラドルや女優を主役にして、ピンク映画系監督が撮るというスタイルのシリーズである。

脚本に片岡修二、助監督佐藤吏、メイキングが坂本礼と、スタッフにもピンク映画監督が参加している。

絡みの場面はわりとソフトだが、それでも結婚前に結ばれる水谷ケイと浜田学の絡みは、すでに熟女とは言え水谷の巨乳な身体に迫力があるからか、わりとそれなりの尺数でガッツリ堂に入った場面となっている。

水谷と同じガールズバーで働く西本はるかが、かなり肉食系の役に似合い、浜田の弟の柴田明良を誘惑して関係を結ぶ場面は、こちらもソフトな描写だが、まあまあそれなりの尺を取って丁寧に描かれている。

ピンク映画の名優でもある吉岡睦雄が一手に悪役を引き受けているだけの勧善懲悪的なシンプルなドラマ展開だが、水谷が農家の嫁になってから徐々に浜田の家族に受け入れられ、厳しそうな浜田の母・田島令子にも認められていくまでのプロセス描写がわりとほんわかと温かい。

水谷が夫浜田の夢のために吉岡に体を許してしまったことが発覚し、一旦、水谷と浜田や家族との仲も途絶えるが、しかしその後、また和解して元に戻り、古風な人情喜劇映画として終わっていく。

何てことない内容だが、水谷ケイが情に熱い農家の嫁役に割と似合っているし、田島令子も好演している。

その他、浜田学や、浜田の父役の団時朗、西本はるか他も良き彩りを添えていて、割とさっぱりしたテイストの、それなりによくまとまったものにはなっている一篇。 2019/11/26(火) 00:06:00 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『巨乳天国 ゆれ揉みソープ』

関根和美『巨乳天国 ゆれ揉みソープ』再見、

由良真央は、闇金から逃げた恋人の森山翔吾の借金返済のために、ソープランド「ドリームガール」で働くことになる。

支配人のなかみつせいじは、縁起を担いで初代ナンバーワンの「みその」という源氏名を由良に付け、面接後には実戦訓練の講習を、ベテランソープ嬢の佐々木麻由子と共に行い由良を指導する。

その時、由良は本気で感じていたが、なかみつからは、身がもたないから演技を覚えろと言われる。

翌日から店に出た由良は、初めての客の竹本泰志にレイプまがいの行為をされて泣く。

しかしなかみつは、慰めつつも、客の要望は受け入れるのがプロだと由良を諭す。

連日続く理不尽な借金の取り立てにも悩む由良だったが、そのうち徐々に逞しくなっていく。





ここで数作のレビューを書いている、先日亡くなった関根和美監督(ご冥福をお祈り致します)作品。

関根作品は、わりと大味で懐かし風味のプログラムピクチャー的艶笑喜劇映画も好きだったが、この映画は紛れもない正統な名作である。

最初は捨て猫のようにボロボロで、不慣れだった由良真央が、酷い洗礼を受けながらも、ソープ嬢として徐々にプロになっていく姿や、その逞しくなっていく変貌ぶりが実に自然に描かれている。

その合間に、なかみつせいじや佐々木麻由子との人情味溢れる描写や、意味深な事情などがペーソスを交えて描かれ、同時に、それぞれが抱える、現実のままなら無さをもちゃんと描いている。

これは、ヒューマンドラマの映画としてはかなり上出来な作品である。

ピンク映画における人情味溢れるヒューマンドラマの傑作という点では、竹洞哲也の名作「悩殺若女将色っぽい腰つき」(原題「恋味うどん」)に匹敵する名作と言えるほどである。

どちらにも重要な役どころで出演しているなかみつせいじの名演が、なんと言っても全編に渡って光りまくっている。

その上で、なかみつに徐々に惹かれていく由良となかみつの関係描写や、作家志望でヒモ同然の太田始と暮らしてきた佐々木麻由子の辛い現実なども哀感を込めて描かれている。

終盤、借金を押し付けたダメンズな元彼の森山翔吾が詫びを入れにくるも、ひたすら由良の幸福を考えてくれるなかみつに由良が告白し結ばれる。

しかしなかみつが、それを由良の一時的な情動として、実に大人な視線で見つめているという描写の切り返しも秀逸である。

確かにこの作品も、関根作品らしい懐かしテイストの定番な人情映画的プログラムピクチャー風味だが、脚本の良さも相まって、物語がいかに定番であろうとも、ちょっとレベルの違う中々上質なプログラムピクチャー映画となっている。

あまりピンク四天王や七福神の監督、または竹洞哲也、荒木太郎などのように作家的に評価されてきたとは言い難い関根和美監督だが、しかしこの映画は、堂々たる正統な名作と言える一篇。 2019/11/05(火) 00:06:53 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『エッチな体温 白衣乱れ抜き』

池島ゆたか『エッチな体温 白衣乱れ抜き』、

訪問看護団体「あすなろ」の訪問看護師・周防ゆきこは、老人から若者まで人気があったが、団体名から取った自称"あすなろスペシャル"という性的サービスの特技があった。

それで新規の顧客をどんどん獲得していたが、高齢化社会の性欲処理問題を、あすなろは表の介護と裏介護を行なって解消し、評判が良かった。

所長の竹本泰志が厳選した人物のみが裏介護を担当し、患者のセクハラに悩む表の介護師に代わって、よく周防が新たな担当者になった。

そんな周防は竹本に恋心を抱いていた。




訪問看護団体の、裏介護をする看護師を描いた映画。

寝たきり老人の小林節彦を訪問し、表介護と裏介護をする周防だが、あくまで高齢化社会の綺麗事抜きの介護に燃えている描写となっている。

途中は、夫の野村貴浩の留守中に、豪邸で若い愛人・久保田泰也と昼間から浮気する沢村麻耶の人妻が描かれるが、沢村がやたらエロい。

だが階下にいる車椅子の老人、牧村耕次は、若い男と浮気し、家の財産を狙っている沢村に怒っていて、息子の野村に沢村と離婚するよう切り出すも、浮気の話は牧村の痴呆のせいだと沢村に言い張られるのだが、結局浮気がバレて勧善懲悪的展開となる。

他に若年性痴呆症のなかみつせいじを妻から任された日高ゆりあが、妻を演じて、なかみつに裏介護を施していくのが描かれている。

後半は竹本に気があった周防が竹本に迫る純愛話になるも、竹本には周防を受け入れられない事情があるのだが、それも周防の裏介護的な施しで解消していく。

わりと明朗な艶笑ピンクという感じだが、介護というテーマにおいては、それほどおチャラけているわけでもなく、綺麗事抜きなものが描かれていると思う。

小泉麻耶が好演した傑作『暗闇に手をのばせ』と似た真摯なテーマ性(あちらは身障者専門のデリヘル嬢の話)が、オーピー映画らしいコテコテの喜劇展開の中にちゃんとあるように見えるところが中々いい。

楽しく見られるが、ちょっとした深みも意外とある一篇。 2019/10/22(火) 00:32:36 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『痴漢電車 揺れ濡れる桜貝』

後藤大輔『痴漢電車 揺れ濡れる桜貝』、

桃井早苗と中森玲子は、パブでバイトする女優志望だったが、桃井は養成所の講師の野村貴浩に、女優に向いていないと言われて、日々夢と現実の狭間で悩んでいた。

桃井は、電車の中でたまたま痴漢を疑った映画オタクの男・小滝正太とそれから何回も偶然出会うが、小滝は痴漢は誤解だと主張する。

その後、役者の演技に厳しい批評をする小滝に、演技力がない桃井は、小滝を利用して演技を向上させようとする。

その頃、主役の座を狙う中森は、講師の野村と不倫して、枕女優のようなことをしていたが、実は本当に野村を愛している事に気付く。





後藤大輔の、女優志望の女の煩悶と恋愛を描いた映画。

シリアスで意味深なタッチの作品に個性がある後藤監督だが、この作品はオーピー映画だからか、わりとコミカルな、いかにも痴漢電車ものらしい艶笑喜劇タッチで描かれている。

しかし内容的には、女優志望の二人の女の葛藤と青春や恋愛をキチンと描いたものになっている。

いつも桃井が乗る電車で、周りに見られながら痴漢プレイをしている竹本泰志と佐々木麻由子も、最初はコミカルな賑やかしに見えるが、終盤で事情が語られたりする。

途中から桃井と、最初は桃井が痴漢と疑った映画オタクの小滝との恋愛話になっていくが、絶えず桃井と中森の女優志望の煩悶が同時に描かれていく。

桃井早苗は、美人とは思わないが、中々味のある顔立ちと個性な上に、演技も瑞々しく、昔なら松田英子や伊佐山ひろ子に匹敵する、ATG映画に主演して重宝がられたタイプに思えるのだが、中々好演している。

コミカルな艶笑喜劇タッチの中に、後藤大輔作品らしく、わりと真摯な恋愛青春ドラマがちゃんと織り込まれている、悪くない一篇。 2019/10/01(火) 00:06:24 その他 トラックバック:0 コメント(-)

『どスケベ坊主の絶倫生活』

関根和美『どスケベ坊主の絶倫生活』、

なかみつせいじはある日、リストラされてしまう。

その事を、愛情深い良き妻の山口真里に中々言えなかった。

しかしいつまでもその状態でいるわけにもいかず、なかみつは「必ず戻る。探さないでくれ」と妻にメールし、まともな仕事に就けるまで家には帰らないと決め、携帯を破壊してしまう。

その後なかみつは、汚い僧衣の珍国斎(牧村耕次)に声を掛けられるが、悩みを聞くと言いながらイチイチお布施を請求するのでなかみつは怒る。

だが、牧村はなかみつの家出の理由を言い当て、"君は僧侶に向いているので、近いうちに頼ってくる人間が現れる"と言って、急に消えてしまう。

なかみつの近くには何故か風呂敷包みがあり、中には古びた僧衣と「命名・焼き肉院雲黒斎」と書かれた短冊が入っていた。

なかみつは僧衣をまとい、修行僧・焼き肉院雲黒斎を名乗るが、するといきなり菅野いちはから助けを求められる。

菅野の悩みは、彼女の夫・那波隆史が女子大生の妹・きみの歩実と同棲したことだった。

菅野は二人に悪霊が取り憑いたと思っていて、何でもするから救ってくれと、なかみつを押し倒し、二人は関係してしまう。






関根和美監督作らしい、ベタな艶笑喜劇映画。

どこもかしこもふざけまくった内容で、まず牧村の謎の僧侶の名前が珍国斎(ちんこくさい)、なかみつの僧名も焼き肉院雲黒斎(やきにくいんうんこくさい)とバカバカしい。

その後菅野に相談されたなかみつが悪霊退散を頼まれるも、実は半年前から菅野はきみのに悪霊祓いと称して暴力をふるっていて、那波はきみのを守るため一緒に暮らしていると言い出す展開に。

なかみつはそんなきみのに一目惚れしていたので、姉(菅野)を助けてと言うきみのを救おうとする。

紛れもなくなかみつせいじ主演作の喜劇映画である。

なかみつも勿論好演しているが、牧村耕次もいい味のコミカル芝居を見せている。

コテコテ感が強いが、いかにも昭和のプログラムピクチャー的喜劇映画のテイストが強くある。

関根和美作品らしく、山口真里のなかみつの奥さんが、リストラにも蒸発にも寛容な態度を見せる良き妻だったりと、全体にほんわかしたハッピー感がよく出ていて、その長閑な作風がこの映画の一番の美点かもしれない。

ベタではあるが、懐かしき味わいに好感が持てる喜劇の一篇。 2019/09/21(土) 00:06:57 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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