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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『スティーヴ・オースティン 復讐者』




テリー・マイルズ『スティーヴ・オースティン 復讐者』、

バンクーバーの東の田舎町は、ダニー・トレホのバイカー集団サークルに支配されていた。

町は犯罪と暴力蔓延る無法地帯だったが、そんな町のモーテルに、かつてサークルに妻子を殺されたスティーヴ・オースティンが泊りにくる。

サークルのメンバーのトレホの弟はモーテルの女主人セリンダ・スワンを襲おうとするがオースティンに復讐も兼ねて撃退される。

それに怒ったトレホはオースティンを殺すよう、部下に命令する。

サークルとオースティンの抗争が始まる。




プロレス界の元スター、スティーヴ・オースティンの復讐アクション映画。

敵役のラスボスをダニー・トレホが演じ、なんともオッサン臭いというか、武闘派同士の漢臭いバトルが描かれている。

設定から筋立てから、ほとんどふた昔も前の日活アクション映画の勧善懲悪劇みたいな内容で、どこかプロレスの勧善懲悪のブックを映画化したようなものに見えなくもない。

だから古臭いベタなお話なのに、プロレスのブックっぽい分、それがオースティンやダニー・トレホには似合い、それほど不自然でもないシンプルなB級活劇になってはいる。

ダニー・トレホは貫禄はあるが、もう結構な歳なので、ボスにして武闘派というのはさすがにちょっと厳しいかなと思えるが、ラスボス役としての迫力はちゃんとある。

オースティンも妻子を殺されて復讐に来た武闘派の男というシンプルな設定に似合い、それなりに適役である。

オースティンに守られるモーテルの女主人セリンダ・スワンは一応相手役だが、なんだかひたすらオースティンの強さを目立たせるための引き立て役といった感じがする。

こういうタイプの映画、というかオースティン主演のアクション映画は、あんまりゴタゴタ捻ったお話にするより、このぐらいプロレスのブック並みにシンプルなアクションストーリー仕立てにした方が無理がないので、短絡ではあるが、まあこれはこれでいいんじゃないのと思える映画である。

出来はまあまあだが、それほど大きなことを期待しなければ、昔ながらのシンプルで勧善懲悪なB級アクションプログラムピクチャーとして、そう悪くもない一篇。 2020/06/20(土) 00:26:16 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『午後10時の殺意/私は殺される!』




E・W・スワックハマー『午後10時の殺意/私は殺される!』、

ローレンス・ラッキンビルは、浮気相手の人妻に、お金なんかいらないから、結婚してくれ、都合のいい女は御免よ、あなたの奥さんに私たちの関係を知らせてもいいのか、と迫られ、不倫相手を殺してしまう。

警察はこの殺人事件の容疑者として、殺された女の夫ニック・ノルテイを逮捕する。

そして、その裁判の陪審員に、なんと真犯人ローレンスの妻クロリス・マーチンが選任される。

クロリスは裁判が進むにつれ、徐々に夫が真犯人ではないかと疑うようになるが。




エリック・ロマンの 『裁判後』を基にした、1974年製のアメリカ・テレビ映画。

若きニック・ノルテイはまだこの頃無名で、この映画でも脇役だが、今ではこの中で一番知名度の高い俳優になったから、なんだか目立って見える。

ローレンス・ラッキンビルはいかにもオールドタイプのプレイボーイ風キャラで、奥さんのクロリス・マーチンはまるで日本の地方都市の地味なオバさんみたいである。

最初にローレンスが犯人だとわかっていて、そのことに徐々に陪審員となった妻のクロリスが気がついていくプロセスを描いているから、さしずめ倒叙型サスペンスドラマとでも言えようか。

つまりローレンスの犯行に何処で妻のクロリスが気がつくか?のサスペンススリラーだから、ヒッチコックの「断崖」に似ているようでちょっと違うし、「疑惑の影」とも少し違う。

もしこれをヒッチコックが監督していたら、もっと見事なサスペンススリラー映画になったろうが、こちらはまあ可もなく不可もなしといった感じの出来で、まあまあな作品である。

しかし70年代のテレビ犯罪映画らしいテイストのサスペンスドラマであり、今また、こういう感じのサスペンスドラマを復活させてほしいなとは思わす一篇。 2020/06/13(土) 00:05:49 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『マキシマム・ソルジャー』




ピーター・ハイアムズ『マキシマム・ソルジャー』再見、

元海兵隊員のトム・エヴェレット・スコットは、アメリカとカナダの国境に近い島で森林保護官として暮らしていた。

かって戦場で戦って、心に傷を負ったトムは、今はこの島で平穏に暮らしていた。

だがある日、麻薬を積んだ飛行機が湖に墜落したため、麻薬組織は冷酷な兵士ジャン=クロード・ヴァン・ダム率いる凶悪傭兵部隊に麻薬回収をさせる。

トムは島の平和のため、ヴァン・ダムと戦うことになるが、そこにかって戦場でトムに弟を身殺しにされたと怒るオーランド・ジョーズがやって来て、トムを殺そうとする。

島は一気に戦場と化してしまう。



『ダイ・ハード』『マトリックス』のハリウッド大物プロデューサー、ジョエル・シルバーが製作総指揮で、ピーター・ハイアムズが監督、撮影と豪華ではあるが、DVDストレート公開の戦闘アクション映画。

おまけにこれまでハイアムズとは『タイムコップ』『サドン・デス』といった全国劇場ロードショー公開された作品で組んできたジャン=クロード・ヴァン・ダムが、善玉の主役ではなく、単なるクソ悪い悪役を演じているという、ちょっとした異色作である。

よくあるDVDストレート作品のように、日本での俳優としての知名度ゆえにパッケージでは主役のように見えるが、映画のクレジットではちゃんと悪役扱いになっているケースと違って、こちらはヴァン・ダムが悪役を凶暴に演じるということを売りにしているようなところすらあり、だから悪役だけど、ひたすらヴァン・ダムが目立つ映画になっている。

しかし、とは言え、もうちょっと悪役と言っても何か描写が色々あるのかと思わすも、ヴァン・ダムは、単なるクソ悪いハリウッド映画の典型的な悪役以上でも以下でもなく、なんだか、またつまらない悪役仕事を引き受けたもんだな、という風に見えなくもない。

ヴァン・ダムの息子、クリストファー・ヴァン・ヴァレンバーグも出演している。

撮影監督も担当しているハイアムズのモーションピクチャーの基本に忠実なカメラワークはやはり今日の映画では得難いものだが、スタントを多用しているからか、バトルシーンがやたらと夜の暗闇ばかりで描かれ、イマイチ迫力がない。

一応展開の面白さがないこともないのに、このナイトシーンの変わり映えの無さが難点で、どうにも映画が単調な印象になってしまっている。

美点は、主役のトム・エヴェレット・スコットがあまりに地味で、悪役のヴァン・ダムの存在感の方が圧倒的に目立つことが、逆にかえって、戦場で戦って心に傷を負っている弱さを抱えたトムが、島の平穏を守るために、ヴァン・ダムという凶暴で派手な強敵に立ち向かっていくという設定に説得力とリアリティを与えているところで、弱々しく何かとお人好しな主人公のトムが、強敵ヴァン・ダム相手に善玉として中々頑張ってる感は、わりと出ている。

だからまあ、そうつまらなくもないのだが、結局ヴァン・ダムは目立つだけでただの悪役だし、ナイトシーンが多すぎてアクションの迫力もイマイチな映画にまとまってしまっている感は否めない一篇。 2020/06/02(火) 00:05:13 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『ドッグ・イート・ドッグ』




ポール・シュレイダー『ドッグ・イート・ドッグ』再見、

犯罪者のトロイ(ニコラス・ケイジ)は、刑務所内で親しくなったマッドドッグ(ウィレム・デフォー)とディーゼル(クリストファー・マシュー・クック)と共に、出所後、金のためにギャングからの頼まれ仕事をしていた。

ある日、三人はギャングのボス(ポール・シュレイダー)から、借金を払わない男の赤子誘拐の大仕事を頼まれる。

一見シンプルな仕事に見えたが、途中で計算違いが巻き起こり、その上無計画な行動を取ったことから、借金を取るはずの男とその妻を殺してしまう。

計画の歯車が狂った三人は、破滅に向かって突き進む。




エドワード・バンカーの名作を映画化した犯罪ノワールアクション映画。

この原作には個人的に随分思い入れがあり、90年代に読んだ頃、何度か映画化を切望したし、原作自体何回も読んでいる。

謂わば、犯罪小説の古典的名作と言っていいくらいの小説である。

しかし中々映画化はされず、原作を読んでから20年も経った2016年になって、犯罪映画ブームなんか完全に下火になった頃に、いきなり映画化されたので驚いたものだった。

これが90年代のタランティーノブームの中で映画化されていれば、きっともっと盛り上がったろうに、時期をあまりにも逃し過ぎての映画化だったからか、日本では、いかにもB級犯罪映画らしい上映のされ方しかしなかったのが残念だった。

まあDVDストレートにならず、一応劇場公開されただけマシかもしれないが、それでも犯罪小説のバイブルとすら思える、あの伝説の名作小説の映画化にしては、イマイチ盛り上がらなかった。

やはり映画化されるのが遅過ぎたのだと思う。

キャスティングもニコラス・ケイジにウィレム・デフォーといかにも定番だし、監督がポール・シュレイダーじゃ、これはあまり期待出来る映画化にはならないだろうと公開前には思ったものだった。

しかし劇場公開されて観てみると、確かに原作とはテイストから何からちょっと違うし、挿話も違うのだが、ニコラス・ケイジのトロイはまあまあ悪くないし、何と言ってもマッドドッグ役のウィレム・デフォーが素晴らしいリアリティの怪演を見せていたので、それで、「これはこれで良し」と思ったものだった。

何故なら原作を読んでいた時も、もしこれが映画化されるなら、マッドドッグを演じる役者の存在感とその描き方が一番肝になると思っていたからだ。

このマッドドッグをよくある凶暴なヤク中ぐらいにしか描けなかったら、凡百のC級犯罪映画とさして変わらない映画にしかならないだろうと思っていたのだが、さすがはウィレム・デフォーである。

原作のマッドドッグの狂ったヤク中のリアリティを、とことん掘り下げた怪演を見せてくれた。

公開時、映画を見終わった時、思わず、"ありがとう、ウィレム・デフォー"と言いたくなったものだった。

このマッドドッグ役のウィレム・デフォーの怪演によって、"あのエドワード・バンカーの名作がなんとかギリギリ報われた"と思ったからだ。

このデフォーのマッドドッグ役の重要性を、監督のポール・シュレイダーもよくわかっていたようで(演じたボス役もわりと好演)、映画は最初からマッドドッグの狂気の暴力の炸裂で幕を開ける構成にしている。

その上で、途中からちゃんとトロイを主役にしたお話に持っていき、三人の中では地味な存在のディーゼルもわりと丁寧に描かれていて中々悪くないのである。

確かに原作にあった犯罪者のリアルな絶望感や、仲間を止むに止まれず殺してしまうことの辛さや悲壮感、またはあの原作独特の世界のテイストなどはまるで出ていない。

だから原作ファンとしては、本当はガッカリするべきなのかもしれないが、しかし妙に悪くない映画版だとも思えるのである。

それはウィレム・デフォーの怪演に拠るところも確かに大きい。

だがそれ以外にも、三人の犯罪者がいかにもショボい場末のファミレスで犯罪計画の話をしていたり、風俗嬢にすらまともに相手にされなかったりする場面が、いかにもいいのである。

またラストも、今や日本の地方にだって何処にでもある、やたらにだだっ広い田舎のショッピングモールで、トロイやディーゼルがいかにもショボい犯罪者として自滅していく末路を、妙に感傷的にもならず、また変に仰々しく盛り上げたりもせず、ショボい奴らを適度なショボさとほんのちょっとのペーソスで描いていて、これが意外と出来そうで出来ない描写にも思えるのである。

まあこの映画版を、犯罪映画のバイブルだとか名作映画とまではさすがに言わないが、それでも中々悪くない映画版だとは、再見してみてもやはり思う一篇。

2020/05/30(土) 00:05:37 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

『沈黙の挽歌』




ウェイン・ローズ『沈黙の挽歌』、

シアトル近郊の日本人キャンプ”キャンプ・ハーモニー”に帰ってきたスティーヴン・セガールが率いる特別捜査課=SIUは、日本のヤクザが、対立している南米系のマフィアを襲う情報を事前に入手し、銃撃戦の抗争現場に出向く。

セガールはヤクザの一人を射殺するが、しかしヤクザ組織を壊滅させられなかった。

その頃、辛い目に遭ったため人質をとって籠城する銀行強盗から、セガールは交渉人として指名され、事件をなんとか解決するが、そこからヤクザの兄弟分を殺されセガールに復讐したいヤクザとの抗争に突入していく。




スティーヴン・セガール主演・脚本・製作総指揮のTVシリーズ「TRUE JUSTICE」を、6本の映画として再編集したクライムアクション映画の5作目であり、沈黙シリーズの一作。

脚本にセガールが参加しているのが、なんだかシルヴェスター・スタローンの主演作を思わせる。

つまりアクションスターで主役である自分を、どうカッコよく見せるかを自分で決められる訳である。

今作でセガールが退治するのは、中国マフィアと手を組み、南米系マフィアと抗争を繰り返す日本のヤクザで、アメリカのマフィアと差別化して目立たせるためか、妙に変わった習慣を持つ存在として変に強調された日本のヤクザが描かれている。

その意味では、『イントゥ・ザ・サン』の系譜にある作品だろうか。

セガール自身も日本生まれの日本育ち、祖父から刀の秘伝を伝授されている、ちょっとだけ日本語を話す侍みたいな奴という設定で、故にヤクザから、あいつは侍だ!と恐れられているわけである。

セガール自身、武道の達人であり、日本刀コレクターだが、しかしその割には、日本刀によるその殺陣対決は、それほど派手に描かれていない。

ヤクザを演じているのも、どうやら日本人ではないようで、日本のヤクザ映画やVシネに出てくるヤクザを、外国人が独自の解釈で、妙に特異な民族習慣を持つ集団みたいに描いており、全然日本的な感じがしない。

しかしセガールは相変わらずメチャクチャに強く、周りの部下たちにすら、ちょっと呆れられているくらい強いのであった。

部下の2人の女刑事、ミーガン・オリーとサラ・リンドのアクションもまあまあといったところか。

まあ、いかにもセガールの映画という感じだが、少々迫力が足りない気もする一篇。 2020/05/19(火) 02:28:51 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)
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