「OUT」
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平山秀幸「OUT」再見、
東京郊外の弁当工場で働く原田美枝子の主婦は、同じ工場で働く西田尚美が夫を殺してしまったことに関わり、同じ職場の倍賞美津子や室井滋と共に死体の解体をして事件を隠蔽しようとする。
しかしそのことでヤクザの間寛平が容疑者にされたことで女たちはさらに危険な事態に巻き込まれていく。
桐野夏生の最高傑作の映画化作品。
しかし原作が日本の犯罪小説の最高峰にして歴史的な傑作であり、世界的評価だって当然高い名作すぎたからか、映像化は悉くイマイチなものばかりで、まだこの映画に比べれば田中美佐子主演のテレビシリーズ版など健闘しているようにすら思えてくるほど、この映画版はうまくいっていない出来である。
平山秀幸は上手い時はかなり上手いので公開時には期待もさせたのだが、この作品ははき違えているようにまるで上手くない。
間寛平のヤクザ役は意外性を狙った外したキャストだったろうが、まあ悪くないとこもあるがそちらもそううまく行ったとは言い難い。
主婦たちのキャストはそう悪くないのだから、もっとコッテリ原作の良さを掘り下げれば傑作にもなったろうに、いかんせん、あの原作は話が進展していくほどに暗くドス黒く世界が染まっていく醍醐味の不気味さにこそ最大の魅力があるのに、映画はその真逆のような明るさでまとめているようなところがあり、こういうところに平山秀幸のような平均的作品を量産するタイプの悪いところが出まくってしまい、実に勿体ない映画化になってしまっている。
決して予算や道具立てで金がかかりすぎたり映像化で苦労する部分が多い原作ではないと思うし、きっちり原作の最大の魅力である過度に深まっていくノワールな暗さに力点を置いて作ればうまく行かないこともないだろう題材なのに、実に何とも勿体なくも残念な映画になってしまっている一篇。
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2013/11/29(金) 13:38:24 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)