「修道女」
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ジャック・リベット「修道女」再見、
没落貴族の娘、アンナ・カリーナは修道院に入れられる。
だがそこでは聖職者たちの腐敗が目につき、徐々に迫害を受けるようになる。
ジャック・リベットが教会の腐敗を訴えた原作を映画化した作品。
こういうのを撮ると必ず教会からの反対運動はつきもので、まあこの映画もご多分に漏れないわけだが(苦笑)、それにしてもリベット映画と言えば、物語をキチンとわかりやすく語るよりは映画としての根源の可能性を追求しまくって、やたら長い映画になる傾向があるわけだが、2時間ちょっとと少々長めとは言え、逆によくこの内容を、簡潔かつサスペンス感満点で描きあげたなと思えるほど締まった出来の映画で、これは最初リベット特集上映で他の未公開作と一緒に見たのだが、中でも最も緊迫感あるサスペンスフルな作品だと思ったものである。
アンナ・カリーナへの執拗な迫害の様子を長々描いても、その映画的運動の持続に絶えずサスペンスフルな緊迫感があるので、緊密で厳しい人間関係のドラマとして実に締まった映画になっている。
正直他のリベットの映画を見ていて、お話の流れや展開をぶっ壊してまで映画的持続に満ちた運動感に執着しすぎる映画に、まあ全く疑問を感じないわけでもないので(いつもではないが、その映画的持続の運動感に緊迫感が感じられずダラダラしてるだけな感じを受ける時もあるので)あくまで映画的持続の運動感に満ちたリベットらしい描き方をしながらも、それが緊迫したサスペンス映画にして緊密な人間関係のドラマにもちゃんとなっているところは実に秀逸である。
アンナ・カリーナも強い意志を内在させながら迫害にあい、受難の中闘う修道女を好演しているし、教会側の腐敗とそれを誤魔化す執拗な迫害の現場のドキュメントを見ているようなリアル感すらあり、さぞこの映画への反対運動をやった教会側は都合が悪かったろうなとも思えてくる。(苦笑)
映画としての面白さと描写の見事さ自体が、腐敗への糾弾に最も功奏している秀作な一篇。 2014/04/29(火) 13:49:34 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)