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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 八千草薫




八千草薫さんが亡くなった。

宝塚歌劇団出身で、在団中のまだまだ若い頃から映画でもよく好演していた。

特に鈴木英夫監督の「若い瞳」の女学生役や、「殉愛」の特攻隊員鶴田浩二の、哀しい最後を遂げる妻役、「白夫人の妖恋」他などで好演していた。

この初期に出演した、稲垣浩監督の「宮本武蔵」シリーズの、品格の中に熱い情念を迸らせていたお通役は、個人的にはベストの名演だった。

歴代のお通役の中でも一番だと思う。

その他「田園に死す」や「ガス人間第一号」、「蝶々夫人」や「サトラレ」、ドラマ「岸辺のアルバム」、「福家警部補の挨拶」最終話の悲しい犯人役、「執事 西園寺の名推理」の伊集院百合子役他などなどの好演なども特に思い出深い。

若い頃から品の良い優しげな美しさがあり、それは老いて尚、変わらない魅力だった。

人間的な品格と優美さが、一つの強い個性となり、それを若い頃から晩年に至るまでずっと盤石なものとして貫徹されていたような方だった。

それでいて、その品格と優美さの中に、熱い情念が渦巻き、葛藤している生々しさが静かに露出してくるところに、女優としての天賦の才と実力が垣間見えた。

謂わば、日本が世界に誇るべく品格と優美さを持った素晴らしき方だったと思う。

八千草薫さん、ご冥福をお祈り致します。







2019/10/29(火) 00:06:01 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)
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