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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『エアポート2017』




ロン・ソーントン『エアポート2017』、

新婚のザック・スティフィーは、開発したプログラムの機密システムのパスコードについて、謎の女から脅迫を受けていた。

その頃、妻のミミ・ダヴィラは、夫のザックとケンカして一人で旅に出た後、飛行機でL.A.に戻ろうとしていた。

だが、ミミが乗った機体が着陸態勢に入った時、CAのジャニカ・オリンは機内で、高度500フィート以下になると飛行機が自動的に爆発するという、テロリストからのメッセージ入りの怪しいテープを発見。

国家安全保障省のエイドリアン・ポールはテロリストが誰なのか究明しようとするが、機体の燃料はもうあまり無かった。




アサイラム製作の、テロリストに爆破予告を受けた飛行機を描いたスカイサスペンス映画。

そもそも一昔前の、やたらと豪華キャストな「エアポート」シリーズで面白かった映画は少ないので、全く期待していなかったのだが(原題は「エアポート◯◯」ではなく「The Fast and the Fierce」)、しかしこれはそれらより遥かに低予算だろうに、意外と面白いB級の拾い物だった。

アサイラムでは「シャークネード」シリーズでも脚本を書いているスコッティ・ミューレンの脚本が巧いのだろうが、低予算故のスカイパニック映画としてのまあまあなCGの迫力や、スター不在の地味さに、イマイチわかりにくい描写が散見されるところを差し引いても、これは中々よく出来ていると思う。

アサイラム映画ではあるが、かっての本家「エアポート」シリーズの無駄に豪華なキャストのわりに、勿体つけてるだけの中途半端なヒューマンドラマが退屈だった作品群なんぞより、かなりマシだと思う。

もうちょっとザックが開発したプログラムの機密について脅迫を受ける描写と、テロリストに爆破予告を受けた飛行機のスカイサスペンスをガッツリ絡ませた方が良かったとは思うが、逆にこの絡みの弱さが、不気味なサスペンス効果を生んでいるところがある気もするので、これはこれでいいのかもしれない。

途中からは機内でのテロリスト探しのミステリと、爆破を阻止するためのサスペンスが重なって描かれていくが、このテロリスト探しのフーダニットなミステリ展開がわりと出色で、最後の最後で意外なテロリストの正体が発覚するところなどかなり秀逸である。(しかもこのテロリスト、実は◯◯なんじゃないのか?)

だから映画自体、ちゃんと最後まで緊迫したまま終わっていき、ラストのラストまで簡単には着地せず、ザックを脅していた女が、格闘の末、片目を潰した状態で、プログラムの機密を知る担当者にまた近づいて終わりという、中々に不穏なエンドにもなっている。

途中、国家安全保障省の人間が爆破予告を受けている飛行機に乗り込もうとして失敗するが、お前らが乗り込んだところで何の役に立つのか疑問なので、それで無駄死にしてしまうところは解せないのだが、それでも数々の瑕疵を抱えつつも、終盤は沈着冷静な機長役のムース・アリ・カーンの凛々しい好演も光り、爆破阻止のためのスカイパニック映画とサスペンスミステリがうまく融合した展開を見せて終わっていく。

監督のロン・ソーントンは、元々視覚効果スーパーバイザーとしての仕事も多い人だが、この映画を監督した後、2016年に59歳の若さで亡くなっており、この作品が遺作となったようだ。(この映画は2017年の作品だから、公開前に亡くなったということかも)

難点もあるにはあるが、これが単なるアサイラム製作のショボい映画だとは全く思わない。

寧ろ、低予算B級映画らしい捻り技でちゃんと勝負している、意外と面白い出来の、佳作な一篇。 2019/11/09(土) 04:04:56 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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